投稿日:2023年10月21日
最終更新日:2023年12月29日
ビルトインガレージ鉄骨造

ビルトインガレージにおすすめの構造とは?地震や3階建てにも強い建て方をご紹介

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WRITER 中村しょう子
建築士
二級建築士/建築専門ライターとして活動。 二児の母としても奮闘中! カヤノキ建設ウェブサイトのコラム執筆を担当しております。
ビルトインガレージにおすすめの構造とは?地震や3階建てにも強い建て方をご紹介

ビルトインガレージにおすすめの構造とは?地震や3階建てにも強い建て方をご紹介

狭小住宅や趣味の空間にピッタリのビルトインガレージ。その使い勝手の良さから、近年人気を高めています。
しかし、1階部分が大きな空洞になるビルトインガレージは、通常の住宅よりも耐震性に配慮しなければなりません。ビルトインガレージと一緒に計画されやすい3階建てになればなおさらのことです。
今回は、広々としたスペースを確保しながら高い耐震性を確保するための構造、ビルトインガレージの注意点について紹介します。

ビルトインガレージに最適なのは重量鉄骨造

ビルトインガレージに最適なのは重量鉄骨造 イメージ

住宅の構造を大まかに分類すると、木造、鉄骨造(軽量鉄骨造、重量鉄骨造)、コンクリート造に分けられます。
その中でビルトインガレージに最適なのは、ずばり「重量鉄骨造」です。
まずはビルトインガレージのメリット・デメリットを確認したうえで、重量鉄骨造が最適な理由を解説していきましょう。

ビルトインガレージのメリット・デメリット

ビルトインガレージとは、1階部分に組み込まれた駐車スペースを指し、インナーガレージとも呼ばれます。
土地が狭く駐車場が設けられない場合や、車やバイク、DIYなど趣味にこだわりを持つ方に人気のスタイルです。

メリット
  • 狭い敷地でも駐車場を作れる
  • 防犯性が高い
  • 悪天候時の出入りがラク
  • EV車との相性がいい
デメリット
  • 建築費用が高い
  • 耐震性への対策が必要
  • 間取りに制限が生じる
  • 騒音や排気ガスが気になる

よく見られるケースとして、玄関をビルトインガレージ内に設け、シャッターで開閉するプラン。そのようなプランであれば、悪天候にも強く防犯性の高い家となる点は大きなメリットです。
デメリットで気になるのは、やはり建築費用が通常に比べ高くなることでしょう。
冒頭で述べたように耐震性への対策が欠かせず、居住スペースとの兼ね合いを考慮した間取りの工夫も必要です。
騒音や排気ガスの問題もあるため通常は換気設備などの設置が必要ですが、静かで汚染物質を出さないEV車を併せて検討すれば、メリットの方が多いと考えられます。

重量鉄骨造の特徴

鉄骨造は、厚み6㎜未満の薄い鋼材を使用した軽量鉄骨造と、厚み6㎜以上の鋼材を使用した重量鉄骨造に分けられます。
軽量鉄骨造は細い鋼材を「ブレース」というナナメの構造材でつなぐ、在来木造と似たような考え方の工法であるため、多くの柱や壁が必要です。
一方の重量鉄骨造は、太く頑丈な鉄骨フレームで長いスパンの構造体をつくるため、間取りを制限するような柱や壁を必要最低限に抑えられる特徴があります。
また、重量鉄骨造の頑丈なフレームは非常に高い耐震性を誇ります。コンクリート造は同等以上の耐震性が特徴ですが、建物の総重量は重量鉄骨造の方が軽いのです。建築コストも重量鉄骨造の方が安い傾向にあります。

重量鉄骨造は地震に強く大空間も得意

木造や軽量鉄骨造よりも大空間をつくりやすく、コンクリート造よりも軽い重量鉄骨造。
それらの特徴が、1階部分に大きな空洞をつくり3階建てなどのケースも多いビルトインガレージに最適な構造と考えられます。
重量鉄骨造は住宅だけでなく、高層ビルやマンション、複合施設でも採用される頑丈な構造です。地盤・基礎も重量鉄骨を支える強度が設定されるため、建物全体の耐震性はとても高いものとなるのです。
ビルトインガレージの住宅に採用すれば、耐震性を十分に確保しながら自由な間取りを計画できます。

ビルトインガレージを建てる際の注意点

ビルトインガレージを建てる際の注意点 イメージ

建築費用

ビルトインガレージをつくる場合、一般的な住宅よりも建築費用は高くなります。
木造の場合は特殊な工法の採用と構造計算に費用がかかり、そもそも重量鉄骨やコンクリート造は木造よりも建築費用が高い傾向にあるためです。
さらに、換気設備や電動シャッター、照明の設置などが費用追加に見込まれます。

動線計画

車をスムーズに駐車するための経路、駐車後の出入り、玄関までの通路確保など、ガレージ周辺の動線計画を綿密に考えることは大変重要です。
「かえって使いにくいスペースになってしまった」という後悔を防ぐためにも、設計士やプランニング担当者にアドバイスを受けながら、実際の動線をシミュレーションしてみましょう。

固定資産税

駐車場であるビルトインガレージですが、建物の床面積に含まれ固定資産税の課税対象となってしまう点には注意が必要です。
ただし、ビルトインガレージは容積率※の緩和特例の対象となるため、延床面積に含まれません。
容積率は家の広さを決める重要な数値であるため、ガレージの面積が含まれると居室が狭くなってしまいます。
この緩和措置は「延床面積の5分の1を限度として容積率の計算から除外できる」といった内容です。
ビルトインガレージは「延床面積の5分の1未満であれば固定資産税がかからない」といわれことがありますが、これは緩和措置の内容を誤認したもの。固定資産税はビルトインガレージも対象となると覚えておきましょう。

容積率(%) 自治体ごとに定められる建築面積の制限。(延床面積÷敷地面積)×100で求める。

電動式シャッター

少しでも建築費用を抑えようと、シャッターを手動式にするケースがあります。
しかし、ビルトインガレージのシャッターは電動式を強くおすすめします。
幅広のシャッターは非常に重く、荒天時にいちいち車を降りてシャッターを開ける手間は大きな後悔が予想されます。
ガレージ内の設備・内装や住宅部分の仕様などとバランスを図りながら、手動か電動かを検討しましょう。

まとめ

ビルトインガレージに最適な構造は重量鉄骨であること、建てる際の注意点をお伝えしました。
ビルトインガレージを取り入れたい場合には、施工事例のある住宅会社に相談し、どのような仕様・間取りが可能か、耐震性やコスト面の対策はあるのか等をしっかりと確認しましょう。

カヤノキ建設は重量鉄骨造を得意とし、ビルトインガレージについても豊富な実績があります。
一級建築士とのコラボレーションにより、お客様のご要望を最大限に反映した品質・デザイン性の高い家づくりが可能です。
大阪でビルトインガレージをご検討の方は、カヤノキ建設までお気軽にご相談ください。